解釈一致の小説を発見

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解釈一致の小説を発見

 MGL Valentiniという女性作家の小説「Principe delle tenebre: Biografia romanzata su Manfredi di Svevia (Le biografie romanzate) (Italian Edition) 」をKindleで読みました。    マンフレディを主人公にしている歴史小説の体裁ですが、かなり史実に添った内容でした。  妹との恋愛話も盛り込んだりと、俗説もちゃんと拾ってあります。  父の遺志と甥のためにと嫌々諍いに身を投じるマンフレディの行動や性格が私の解釈に近く、「そうそう、こういう彼が読みたかったんだ…」と感動しました。  作中のマンフレディはあくまで異性愛者として書かれていましたが、この作者様、おそらくBLテイストもお嫌いではないと思われます。  なにしろテバルド・アンニバルディが独身を貫いてまでマンフレディに尽くし、彼の二度の結婚話に嫉妬して動揺し、その美貌や肢体にしょっちゅう見惚れて顔を逸らしたりするのです。私も自作で親友にそうさせたのでめちゃくちゃ共感できましたし、DeepL翻訳越しでも判る二人のきわどいボディタッチ描写にドキドキしました。  彼のことを調べていた当時、辞書を片手に史書を少しずつ読み進めるとそれが著者のマンフレディへの厳しすぎる批判だったことは数え切れません。  私は推しの低評価をスルー出来るほど人間ができておりませんので、ページから離れて休憩したりもしました。  史学を学んでおらず、なおかつキリスト教や中世の風習に極めてうとい一東洋人の私としては、「彼は優柔不断というより現実的で慎重なだけでは?」とか「戦争そのものや教皇庁に対して醒めていて、自分の譲歩で無駄な争いが回避できるならそれもよしだったのでは」と客観性に欠ける贔屓思考がどうしても捨てられず、自分なりに彼の人生を消化したくて小説を書いてきました。  彼の故郷であるイタリアでこのような歴史小説が上梓されていたと知って、救われた思いです。
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