女たらし? 男たらし?

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女たらし? 男たらし?

 遅くなりましたが、1ページ(https://estar.jp/novels/26014382/viewer?page=1)にシュタウフェン家の主な君主家系図とフリードリヒ二世の家系図を追加しました。  「フリードリヒ二世は男色家」と書かれた文章を読んだとき、私がびっくりした理由がお判りいただけると思います。    フリードリヒ二世の三名の正妃はいずれも早世ですが、帝は彼女たちとの間にしっかり子供を作っています。  しかもマンフレディの母親で、側室の中でもっとも寵愛が深かったと言われるビアンカ・ランチアとは三名、その他名前が判っている側室、判らない側室とのあいだにも大勢の庶子がいるのです。    ジェームズ一世のように子供たちの母親が王妃ひとりならば、男色家であっても王様の義務を果たしたのだろうと思えますが、正妃と同時並行でこれだけ愛人がいて庶子も複数名となると「男色家といわれても…」というのが率直な感想です。  おそらく帝はヘテロ寄り+時々同性をつまみ食いするバイセクシュアルかな、というのが私の推測です。    マンフレディも「邪悪な女好き」「放蕩者」とさんざん教皇派に罵られ、デカメロンでまでそのキャラで名前が出てくる始末ですが、イタリア人史家の「そうは言っても彼の庶子は(父帝と違って)判っているだけで一人くらい、あとは二人の正妃との間の子供たちなんだから、遊び人ってほどでもなくない?」という指摘を見まして、言われてみたら確かにと今さら気付きました。  二人目の妻エレナはたいへんな美人だったそうで、彼女との間に少なくとも五名の子供が確認されていますので、仲睦まじい美男美女カップルだったのは間違いなさそうです。  皇帝家出身のイケメン皇子で地元育ち、金髪白皙の容姿(現存する肖像画は肩にかかる長髪で髭なし)、声も良し奏楽も巧みで人柄も明るいとあっては相当モテたはずですし、実際モテたでしょうが、意外と正妻ひとすじというタイプだったのかも。  だとすれば「度を過ぎた女好き」という悪評も敵の悔し紛れというか、単に誇張だった可能性は充分にありそうです。   
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