サステナブルな視点から予測不可能な未来における彼と私の関係性について考察する。

Results

一葉はお昼すぎに空港に着き、そのまま会社に向かうらしく、その後に会う約束をしている。つまり、私に残された時間はほんの数時間まで絞られた。

『これを読めば、絹さんは俺と結婚しなければならないという脅迫観念に襲われます』

だったら受けて立とうじゃない。もはや投げやりなのか、藁にもすがる思いなのか分からないけれど、私はその薄い紙を捲り羅列した文字に目を通していく。

数ページ進んだところで思わず唸った。
あの男、やはり仕事ができる。

そこにはインドで業務に当たるに至って、研究職から補助として1名引率するという趣旨が細かく記されていた。そして考えるまでもなく、その該当者に一葉は私を指名するつもりだということが書かれていた。

完全に、仕事を辞めて一葉についていくとばかり思っていたので、私が直接オーガニックコットンの研究に関わることはできないと思っていた。

1番の懸念を初手で解決するその手腕、さすが商品開発部の若きエースだ。そして私のことを理解している。

ああもう、だから嫌なのよ。優秀すぎて泣きたくなる。

ページを進める度、不安要素が解けていく感覚に陥った。子供のこと、家族のこと、デリケートな内容は一葉に深く話した覚えはないのに、まるで何もかも分かった上で記された言葉に涙が出そうになった。海外生活における言葉や文化の壁も、全てサポートすると言ってのけた。そしてそれを裏付ける力量を彼は持ち合わせていた。