2 Escape 脱走

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 追い始めて30分が過ぎた頃、アリスから連絡が入った。 「ルイス、そこから西に100メートルのところに人影。ミキと行って。ブルーは警官と残って」 「ブルー、西ってどっちだ?」  ルイスが聞き、ブルーは斜め前に腕を上げ、方角を指差した。ミキが後ろから追い越し、ルイスと走り出す。警官隊もブルーと残る一人以外は駆け出した。 「こっちに。銃撃戦になる可能性もあるので」  警官が言い、ブルーは大きめの木の根元に座らされた。アリスが細かく指示を出し、ルイスたちが何かを見つけるのもわかった。そしてイヤホンと現実の両方から銃声が響いた。そしてそれが続く。  ブルーは耳を塞ぎ、辺りをじっと見た。警官が自分を守るように警戒してくれているが、それでも丸腰に銃声は怖かった。  しかも銃声が近づいてきて、ブルーは走り出したくなった。が、じっとしていろと警官に怒鳴られて我慢した。  流れ弾がすぐ近くを通ったときは、生きた心地がしなかったが、数分で銃撃戦は終わった。逃げた囚人の弾切れだった。2人は仕方なく投降し、逮捕された。どうやらブラウンが強引に金を奪おうとアルーを連れ出していたようだった。  警官にもう動いていいと言われ、ブルーは何とか立ち上がった。  ミキたちが戻ってきて、彼女はブルーを見て笑った。 「何、ビビってんの? 終わったよ」  ブルーはうなずいて汗を拭った。 「こっちは丸腰だから、そりゃ不安にもなる」 「おしっこ、漏らしてない?」  ミキがブルーの股間に目をやり、ブルーは彼女を蹴飛ばそうとして、地面に組み敷かれた。一瞬だった。これまでに何度か体験しているが、毎回こんなに人間は簡単に回転できるものだろうかとブルーは思う。 「最期に何か言いたいことは?」  ミキがブルーの胸に銃口を当てて言い、ブルーは彼女の狂気に満ちた楽しそうな目を見た。 「ミキはサイコパスだと思う」  そう言うと、言い終わる前にまだちょっと熱を帯びた銃身で頬を殴られた。金属の塊で殴られるわけで、ブルーは喋ろうとしていたから口を切った。 「ミキ!」  アリスが怒鳴ると同時に、ルイスがミキを引き剥がしたが、ブルーはしばらく立ち上がれなかった。
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