10 Training 研修

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 平屋のアヤズ・ストアの屋根が歪み、それを見た犯人2人はほろ酔い気分で中に忍び込んだ。  あのグロサリーストアにはお菓子も雑誌もある。何でも好きに飲み食いできるぜ。一晩中、遊べる。どうせ大したセキュリティはない。  でも2人はミントガムとチョコレートバー、それから雑誌2冊で逃げ出した。  滞在時間は5分ほど。  侵入成功の喜びに浸る間もなく、裏口から逃げ出している。  計画した窃盗なら話は別だ。滞在時間は短ければ短いほどいい。  てことは、だ。  ブルーは首を振った。推理はあんまりしなくていいとアリスやフランキーにも言われている。事実だけを見ろと。  じゃぁ足跡に注目。  ブルーは駐車場の監視カメラの画像を拡大して見る。  侵入犯2人はスキップするように店に近づいてる。  5分後、彼らが裏口から出ていく姿は映ってないけど、スクーターを取りに来た姿は小さく映っていた。急いで逃げている。周りを気にする雰囲気もなく、ひたすら早く遠ざかりたいという雰囲気で。足跡もそう告げている。歩幅が広く、乱れている。  ちゃんと分析できたら、靴のサイズもわかるんだけど。  ブルーはスクーターのナンバーも見ようとしたが、小さすぎて無理だった。  UPなら陸運局のデータベースとかと連携して、この町のスクーターの持ち主一覧が出せて、指紋だって調べて一発だろうに。  いや、そういう夢は見ないでおく。  研修だからな。  ブルーは店の裏口で立ち止まり、緑色の裏口ドアを見つめた。  ここから逃げていった。  店に入ったのは、あっちの屋根の端で、入った後、2人はすぐそばにある雑誌コーナーで本を取った。ガムはカウンターの上。それまでに魅力的なものは山ほどあったのに、チョコバーだけ取ってカウンターに直行。金を取るつもりならわかる。でも金には手をつけず、カウンターの奥にある倉庫の裏口から出ていっている。  ちょっと待てよ。これなら滞在時間は3分でいい。  店内にある監視カメラはカウンターとは反対側のドリンクケースの冷蔵庫と雑誌コーナーの角しか写してない。2人が侵入してきたのはそこだが、それ以来そこに近づいてない。  ガチャリと裏口が開き、ブルーはちょっと驚いた。  顔を出したアヤも驚いた顔をした。ゴミの入った空き箱を外に出しに来たようだった。 「あら、まだいたの」  ブルーはうなずいて、裏口を指差す。 「そこから店に入ってみてもいいですか?」  そう聞くと、アヤは眉を上げた。 「いいけど、どうして?」  ブルーはそう聞き返されて、理由を考えた。 「なんとなく?」
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