903人が本棚に入れています
本棚に追加
Rule 1
「……ごめん、やっぱり雫を女性として見ることは出来ない。君は俺にとってずっと妹のようなものだったから」
初めて迎えた二人の夜、私を抱いた後にその日夫になったばかりの彼はそういった。
確かに彼が私に触れる様子はどこか儀式めいたものがあり、私が想像していたものとはだいぶかけ離れていた。愛情も欲情も感じられないその行為に、私の心と体も冷えていくのが自分でもわかってしまったから。
そう思うのならば最初から私を抱かなければよかったのだ。それなのに中途半端に彼に触れられたことで、私の中で諦められない気持ちが生まれてしまった。
……こうして抱き合うことが出来るのだから、いつかは夫の考えも変わるかもしれない、と。
しかし夫の岳紘が私の肌に触れたのは、一年間の結婚生活でこの一度だけだったのだが。
最初のコメントを投稿しよう!