14 情事 (※R18描写)

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14 情事 (※R18描写)

ガツガツしていると思われるかと迷ったけれど、ネックガードを風呂で外したままで来て本当に良かった…。 そう思ったのは、西谷がやたらと首周りに執着して愛撫しているからだ。 しかも、最初は大人しく前を弄り回していたのが、とうとう俺をひっくり返してうなじの匂いを嗅ぎ始めた。 これってやっぱり‪α‬の習性なんだろうか。 「…あ…っ。」 熱い舌がうなじから肩を這い回る。肩甲骨を熱い手がさすり、唇が吸い付く。頬擦りをされる。背中一面を愛でるように愛撫されて、息が上がる。寝巻き越しの尻に感じる、西谷の熱い猛り。 (ほんとに俺で興奮してくれてるんだ…。) 後ろから耳朶を食まれると、背中に発達した胸筋が密着して暑いくらいだ。肌の触れ合いが心地良い。 耳下からうなじ、髪の生え際を西谷の唇がなぞる。それに感じて、鼻から声が抜ける。 気持ち良い。それにしても、本当に首周りが好きらしい。 ヒートを迎えていないから、どうせ噛めないのに…と内心微笑ましく思っていたら、急にドクンと心臓が大きく脈打った。 「……ぇ、?」 「…どうした?」 「ぁ、…いや、なんでも。」 妙な感じがした。心臓が高鳴って、一瞬で体中の血液が沸騰して熱くなるような。 でもそれはほんのいっときの事だったから、気の所為かと思った、のに…。 息を吐いた次の瞬間、全身に鳥肌が立った。次には腹の奥が焼けた石でも詰めたらこんな感じか、というくらい熱くなって、悲鳴も出せないくらいの苦痛が襲って来た。と思う間にそこからぶわりと全身に熱が広がって、自分でもわかるくらいに、あのにおいが。 (…嘘…、) 「……っあああ!!!」 絶叫しかけたのに、察したらしい西谷の大きな手のひらが俺の口に被さって抑えてくれた。 「余?大丈夫か、フェロモンが急に強まった。」 珍しく焦った様子の西谷が耳の傍で問う。 でも俺はそれに答えられない。呼吸が苦しくて酸素が取り込めないのだ。心臓を押さえて、掻き毟る。 緊急事態だと判断したのか、西谷が俺を仰向けにして、ベッドから離れようとした。 「救急…、」 「…りょう…待って、遼一…。」 辛うじて捕まえた西谷の指先を握る。 「ちがう、だいじょうぶ、これは…、たぶん…。」 ヒート(発情期)。 15の歳に初めて経験して以来、抑制剤の関係か自分のホルモンバランスの関係か、ずっと来なかった。俺としては来ないなら来ない方が好都合だったのだが、どうやらΩとしても不完全らしいな、と自嘲していた。自分が欠陥品らしいと思うようになってからは、父が世間体を保つ為だけに行けと言っていた定期検診にも、抑制剤が切れてからしか行かなくなった。 この先ずっとヒートが来ないなんて事は無いだろうが、出来れば来ないで欲しい。誰とも番になんかなりたくない、そう思っていた。 なのに、まさか今、来るなんて。 西谷の所為、だろうか。 この男と結ばれる事を、俺自身が望んだから? 体も心も、西谷という‪α‬を欲したから? そんな、渇望している‪α‬に触れられたから? 理由はわからない。けれど、確かな事は、俺が今、ヒートを迎えたという事だ。 戸惑う西谷の腕に、太い首に、自分の腕を巻き付けて縋る。 俺の瞳は潤んでいるだろうか。2年振りに発散するフェロモンは甘いだろうか。肌は紅潮しているだろうか。唇は濡れているだろうか。 俺は、上手にお前を誘惑できているだろうか? 不安だ、不安なんだ。抱きしめて。 「…だいじょうぶ、はやく、はやく、おれに、おれを…、」 お前の、つがいに。 「余、あまり。なんて堪らない匂いだ…。」 俺を強く抱きしめてくれた西谷の言葉に安堵する。良かった、西谷は俺の匂いを気に入ってくれたようだ。 俺のヒートに呼応するように、西谷の匂いも濃くなってくる。濃厚な、甘い、深い、窒息しそうな程に魅惑的な‪α‬の匂いが部屋に充満していく。多幸感。 互いの唾液を交換するように何度も交わす口づけは殺人的に甘い。舌が吸われると痺れるようだ。俺の口腔内の細胞を、余すところなく舐めとるような西谷の長く分厚い舌。 全てを持っていかれる。それが気持ち良い。幸せだ。 首筋に、鎖骨に、乳首に、脇腹に、腋に。むしゃぶりついてくる熱い唇。 匂いの源を辿るように腋を舐め上げられて、そのまま腕を舐められて、5本共の指先までしゃぶられて食まれる。それが快感だ。まるで全ての先端がペニスになったようだった。 もっと舐めて、吸って、しゃぶって、食べられたい、西谷に。 内股に吸いつかれた時、堪らなくなって腰が揺れた。 残されていく赤い所有印、幾つつけられたのかわからない。睾丸への愛撫なんて、信じられない。ペニスを貪るようにしゃぶられて、甘えるような悲鳴が出てしまった。 「ぁあん…っ、あん…」 「はぁっ…何処もかしこも、何でこんなに…?」 口の中に入れたまま不明瞭に喋られて、舌の蠢きにまた腰が砕けそうになる。砕けて、蕩ける。溶けてしまう、俺のペニス。 そのまま口の中で射精したソレは、西谷に飲み下されてしまった。他人の口、凄い。好きな人の、だからだろうか。 「…ぁ…ぁ、っ…。」 快感の余韻に肩で息をする俺は、夢見心地のまま、またうつ伏せにひっくり返された。 腰を掴まれて、尻を突き出すように上げさせられたかと思ったら、肛門に西谷の吐息がかかった。 「…は、」 心構えする間も無く、ソコに舌を這わされた。 「や、やめ…っあ…、う…、」 くちゅり、と響いた粘液の音は、西谷の唾液だけではない。西谷の愛撫にずっとソコから垂れ流し続けていた、俺の体内から溢れ出た粘液。交合の為の潤滑液だ。俺が、Ωの体だという証。 「いい匂いだ、美味い。」 ちゅ、ちゅ、と俺の尻の間を滴る透明な液を舐め取る西谷。 そんなものを、そんなに美味そうに舐めないで欲しい。でも、もっと下品な音を立てて啜って欲しい。羞恥、でも羞恥より快楽を優先してしまう。こんな俺は浅ましいだろうか。 でも、気持ち良いんだ。 お願い、もっと。 孔に舌を捩じ込まれ、出し入れされ、ふやかされ、それが舌から指に代わっても、俺は相変わらず嬌声を上げ続ける。 「あ、だめ、だめ…そこ、なんか…あんっ!」 「…ん、此処か。」 入口から少し先のその部分を西谷の指の腹が撫でると、既に蕩かされた筈の俺のペニスがまた鎌首を擡げてきた。 「ひ、あ…!」 駄目だ、あっちもこっちもなんて。頭が熱い、ショートしそう、バカになる。 俺の肛門からは更にダラダラと潤滑液が溢れてきた。 「…挿入れるぞ。」 「う、ん…。」 ふぅふぅと息をするのもやっと。なのに本番はこれからなのだ。 ぎちっ、と孔に押し当てられる、熱いもの。 「ゆっくり息を吐け。」 背後からそんな言葉が聞こえてきた直後、目から火花が飛び散る程の質量が、俺の体内に侵入してきた。 「あああああああっ!?!」 ずっと鳴かされて、殆ど声にならない掠れた悲鳴。衝撃だ。 あれだけ慣らされたのに、本物の西谷のペニスは指3本程度とは比べ物にならなかったらしい。めりめりと拡げられる入り口と直腸の道。 「か、は…っ、」 「…く…狭い…。」 痛みと言うより、圧迫感で苦しい。それでも俺の体はそれを快感と判断しているのか、相変わらず分泌される潤滑液のお陰で、初めての俺のソコには巨大な西谷のペニスがすっぽりと収まった。 それに安心して息を吐いていたのに、中でどんどん圧迫感が増していくのに気がつく。 「…あ、うそ…。」 ‪射精する迄は逃げられない、‪α‬の亀頭球。それが俺の内部で肥大化を始めたのだ。 「あ、あ…っ、」 「余、あまり…凄く気持ち良い。」 興奮し切った西谷の声に嬉しくなる。苦しい、でももっと奥迄繋がりたい。誰も俺達を引き離せないくらいに、強く深く俺の中に楔を打ってくれ。 うなじを這う熱い舌、甘噛みを始める歯の感触に体の奥が疼く。 馴染むのを待つようにじっとしていた西谷の腰が揺らぎ始める。 「余…俺だけの人。俺のΩ。」 「……ッ!!!!!」 うなじに走る鋭く甘い痛みに、俺は耐えた。 早くこの身に、一生消えないお前の証を…。
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