腕時計の約束

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ポトリと落とした腕時計。ベルトが、壊れた。 呆然とした。頭が真っ白に。だって、大切だったから。大切で、特別だから。願掛けみたいにつけていた。ミサンガみたい、と一瞬思いかけたのだけれど、それならばわたしの願いが叶っているはずだ。でも、と、変わらずに刻み続ける秒針を追いかけている。手のひらの中で刻み続けるそれは、変わらないわたしの気持ちみたいだ。 約束をした。 お揃いの時計をつけた日、また再会しようと。 キラキラ輝いていた。 毎日毎日、それはわたしにはダイヤモンドに見えた。 そんな腕時計。大切に大切にしていたのに、ある日を境に影が差した。そして壊れた。これがミサンガなら、君は今目の前にいるはずで、約束は果たされるはずで、でもこれは腕時計で、ならばあの日の約束はどうなるのだろうと、秒針の音に鼓動の音が重なる。文字盤には、涙のように輝く星。ずっとそればかり。 目を閉じればまだあの日は甦り、時計の針はまだわたしをあの日に繋いでいる。
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