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どんなにひどい結末でも、困った今をぬけ出せるなら、やってみようと気持ちが上向くから不思議だ。俺は一緒にあの世へ行く相方をよく知るために、チラシを隅から隅まで読んだ。
最新鋭のAIを搭載したアンドロイド。頭脳明晰、なんだってできる。見た目は人間そのもので、至近距離でもアンドロイドと見破ることは不可能とのことだ。
大容量の蓄電池が内蔵されてあり、一年間はエネルギー補充不要。自己修理システムによって、メンテナンスも不要。車にはねられた程度では壊れない頑丈さだそうだ。
価格は五百万円。例外をのぞき返品は不可。
例外とは、使用一週間以内でかつ、半額のみの返金を了解すれば返品を受け付ける。
つまり、買ってはみたものの、いらないと返したところで、二百五十万もとられるってことだ。
チラシの隅には、『万全のアフターサービスを心掛けております』と赤い文字で記されていた。
機械にうとい俺だが、この機能で五百万は安いんじゃないかな。いや、五百万は大金だよ。その半分でもあれば、俺の人生、やり直せると思う。
でもなあ、これだけの能力を持ったアンドロイドが五百万ってのは、どうしても信じられん。うさんくさすぎる。
こりゃあ、最初っから返品目当てで、二百五十万を奪い取る新手の詐欺なんじゃないか?
しかしよく考えろ。俺は死ぬんだ。返品もへったくれもない。このアンドロイドと心中する。五百万さえ用意できれば、俺の望みは叶うんだ。
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