万全のアフターサービス

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 うう、さみい。冷たい風のせいで目が覚めちまった。薄っぺらのコート一枚で、年を越すだなんて無理だ。体の芯からふるえがわいてきやがる。全身マナーモード。  あーあ。バカなこと言ってる場合じゃないんだよ。俺はブルブル動いても、ケータイはうんともすんともいわない。  料金滞納。ついでに充電がすっからかんになっちまえば、こいつはポケットをせまくするだけだ。  ケータイがただの箱になりさがると、日雇いの案内が俺のもとから遠ざかる。もう何日、金を稼いでないんだろう。  朝になっても日がささない。灰色の雲がびっしりだ。夜は凍えて死ぬかと思った。もしこれで、雪なんか降ろうものなら。  ダメだ。もう公園で寝泊まりするのは限界だ。  でも、どうしたらいいんだよ。仕事はない。金もない。家賃が払えなくなって、アパートを追い出されて二週間。腹がへった。眠いのに眠れない。なんでか知らんが涙が出る。ずっと耳鳴りがする。  こんなの、生きていてもつらい時間が長くなるだけだ。どうやって今の俺から脱出しろって言うんだよ。ないない尽くしの八方ふさがり。まるで、沼にはまって沈むばかりの野良犬だ。こうなりゃ、もういっそのこと自分で……。  ここで生じる問題。  俺は一人で死ねるほど、度胸がないんだ。酒でも飲んで勢いつけて、と思っても、酔った勢いで逃げちまうのが関の山。  自分のヘタレ具合には、われながらあきれる。誰かと一緒なら、無事に果たせるかもしれないが、そこまで俺によりそってくれるやつなんているわけない。  はあ……、本当に俺ってダメなやつだ、と公園のベンチで頭をかかえていたら声をかけられた。
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