泥臭い魚は皮を剝いでみよう

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 川岸の適当な場所で火を熾した。日が傾き始めたからか、水辺にきたからか、気温がグッと下がったように感じる。  「火起こしが楽にできてよかった。」  エンジの魔法で作った火は、火元のない場所でも燃え続けた。火の前でコンロの火力調整する時みたいにつまみを動かす動作をすれば火力もそれに応じて変化した。…チャーハンがパラパラに仕上がりそうな高火力!  「本当に変わったスキルじゃのう…。お主から魔力の流れを感じぬ。着火の時以外はお主自身の魔力を使っておらぬようじゃ。普通の人間ならば、これだけ炎を出し続ければすぐに空っぽになるのじゃがなぁ。」  バッタを炒めてた時からエンジも思っていたことだ。着火する瞬間は体から何か、気?のようなものがふわーっと流れ出る感覚があったのだが、今はそれがない。身体に魔力?が流れてるかもよくわかってないエンジには「普通」がわからないが、アデルからみると特殊なことのようだ。 「つくづく便利すきるよなぁ、これ。」 「よくわからんが、お主の世界流で言えば『チート』の部類じゃろうなぁ。この世界で無双できるぞ?」 「料理で無双って…ただの社畜が無双できるくらいにこの世界はチョロいのかよ。」 「かっかっかっ、そんなやわな世界ではないのぅ。…確証はまだないが、この世界はわしが生きとった時代の遥か先の世界のようじゃ。3000年?くらいは経っとるのぉ…。」 「なんでそんなことわかるんだ?」 「大気の魔素を調べたんじゃ。魔素の循環には一定の法則と期間がある。それを逆算して見れば、大体の歳月はわかる。」  魔素の循環?はほっといて、アデルの話を聞くとこの世界はアデルの生きた時代とは異なりはするが、世界は同じらしい。アデル自身は生命の循環の輪?に上手く組み込まれたものの、本来ならば記憶もまっさらな別の生物に生まれ変わるはずが、自身の存在と業が強すぎたため、不安定な『転生』という形に至ったようだと。なるほど、わからん。
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