出会いの平原

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出会いの平原

 社畜は穏やかな風を肌に感じながら目覚めた。陽の光と草をなでるそよ風の音。心が穏やかになるような場所だった。 (どこだここ?)  社畜は一生懸命記憶を辿ろうとするが、ちぐはぐで、よく思い出せません。むしろ何も思い出したくないという気持ちのほうが勝っているのだから、考えるのを放棄した。  それよりも気になるのは、寝転がった自分にもたれかかって寝ている少女のほうだ。10歳前後?昔会った姪っ子がそれぐらいの年で、この子もサイズ感が同じくらいだった。  「んーーーー…よう寝たのじゃ。」  じっと少女のつむじを眺めていると、もそもそとのったりした動きで目を覚ました。というか、「のじゃ」って。  「よう寝たのじゃ。どれくらい寝ておったのか……まぁよい。しかし、ここはどこなのじゃ?ずいぶん心地よい場所じゃあ。うおっ、なな、なんじゃおぬし!ずいぶんでかい人じゃな!巨人族かえ?しかしそれならわしがずいぶん前に滅ぼしたはずじゃがなぁ。」  「…少なくとも、俺は巨人じゃない。お前がちっこいだけだろ。」  「おん?なにをいっとろうか、わしはドラゴンじゃぞ……、んん⁉なんじゃこれは!」  少女は自分の手足を見ながら草原を駆け回ったり、ゴロゴロ転がったりと、とにかく忙しなかった。たまに、人間になったぞー!とか叫んでる。…今更ながら、俺はどんな見た目になっているのだろうか。  「おーいちびっこー!俺はどんな見た目なんだー?」  遠くでまだはしゃぎまくってる少女に問いかける。  「おぬしかー?そうじゃのぅ…、人をたくさん殺してるような眼をしとるぞー!」  なるほど、俺の見た目はそのまんまなのか。ん?そのまんま?……あぁ、なんとなく思い出してきたぞ。  
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