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炎路はまず手にフライパンを持つイメージをした。するとふわっとフライパンが現れた。次は火だ。フライパンの下でコンロに火をともすようなしぐさをしてみた。数秒のあと、ボっと火が付いた。すごいスキルだぞこれは。
「おーマジでキッチンじゃん。めっちゃ便利!」
「ほー、きっちんつーるとは料理するためのものじゃったのか。おそらく固有スキルじゃのう。なんとまぁ珍しい。」
「それより、せっかく火が使えるんだ、バッタ炒めてやるよ。それと、鑑定スキル?で食えるかどうかはわかるのか?」
「毒があるかとか、食ったときにステータスに影響があるかとか、そんなことはわかるが、安全に食えるかまではわからぬぞ。」
「その辺の草で食えるのがあれば一緒に炒めたんだが、まあ今はいいか。」
本当に大丈夫かえ?とアデルが不安そうに見つめているが、炎路は無視してバッタをイイ感じに炒ることに集中する。
「…よし、こんなもんだろ。えーと、皿は…出ないのか。なんでだよ。しゃーない、フライパンから直食いだな。」
はしたない、行儀が悪い、見た目も悪い。ここは異世界、そもそもバッタ食べてる人がそんなものを気にするはずもなく。
「うう、確かに香ばしい?感じには仕上がっておるが…。」
アデルは、本当に食えというのか?と言わんばかりに炎路を見つめているが、炎路は、さぁ食え!と言わんばかりに見つめ返した。
「これが、背に腹は変えられぬというやつか!」
ええい!と気合を入れてアデルはバッタを口に放り込んだ。
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