それぞれの行方

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 一人ちょこんとベッドの上に座り、迅くんを待っていた。  すると 「これから美月としたいことがある」  彼がそう言ってベッドサイドへ座った。 「うん」    ドキドキするけど、罪悪感を抱かなくていいんだ。   「好きな人と一緒に映画を見るって、恥ずかしいけど、なんか憧れでさ」 「うん。映画ね……。映画……!?」  卑猥なことしか考えていなかった。  何、勘違いしているんだろう、私。 「美月は映画嫌いだった?」 「ううん!そんなことないよっ!」  あたふたと答えてしまったけど、迅くんにバレなかったかな。 「実は見たかったホラー系のがあって……」 「えっ?ホラーなの?」  唯一、苦手なジャンルだ。  幽霊とかゾンビがいきなり出てくるのとか、あまり好きではない。 「ダメ?」    迅くんがせっかく見たい映画なんだもんね。 「大丈夫だと思うけど、大きな声出しちゃうかも」 「わかった。ま、このパソコン画面小さいし、そんな迫力ないから大丈夫だと思うけど」  彼が映画を見る準備をしてくれ、音が流れ始めた。  迅くんが見たかった映画は、洋画だった。  画面を見ていると――。 「ちょっと!迅くん?」  いつの間にか、彼は私を後ろから抱きしめるような形で座っていた。 「こうやって見てれば、美月も怖くないだろ?」  そうだけど、違う意味でドキドキするよ。  シャンプーの良い匂いがするし。  でも幸せだ。  顔の表情が緩み、口角が上がる。  迅くんをチラッと見る。  彼も会社にいる時とは違い、別人のような優しい顔をしている。  気分転換になっていればいいな。 …・――――…・――― 「いやいやいや!!もう終わった!?」  私はいつ出てくるかわからない幽霊に怯え、迅くんにしがみついたままだった。 「まだ終わってないけど。美月、ほとんど映画見てないじゃん」  私の様子にアハハっと笑っている。 「見てないんじゃなくて、見れないの」  こんなの一人で見てたら、思い出して一人で眠れなさそう。 「ていうか、そんなにくっつかれるとそろそろ俺も映画どころじゃなくなるから」  それって……。 f3c990d8-9873-495c-b77c-d7c213f5e38e
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