それぞれの行方

6/17

893人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
 急に目線が鋭くなり、彼は私から離れ、パソコンの電源を落とした。 「あっ。ごめん。私が怖いの見れないからっ!」 「違う。美月に触れたくて、限界」  彼はそう言い、電気を消した後、私を押し倒した。 「迅くん?」 「イヤだって言っても、遅いから」  彼は自分の上衣を脱いだ。  あぁ、あの時と同じ表情(かお)だ。  薄っすら窓から漏れる光で顔が見える。    再会しても彼のことがわからずに、加賀宮さんって呼んでいた頃と。  悪戯に笑う彼に、身体を預けていた時と同じ――。 「んんっ……」  息が出来ないくらいの強引なキス。 「ふっ……。んんっ」  キスされながら、彼は私の敏感なところに指先を伸ばしていく。 「美月の感じるところ、知っている」  彼は、私の感じるところを弄ぶ。 「あっ、もっ!ダメッ!」  彼の背中に手を伸ばし、快感に耐える。 「イッていいよ」  彼がショーツの中に指先を入れて、既に膨れている部分を優しく擦った。 「あぁ!」  快感に耐えられず、私は絶頂を迎えてしまった。 「美月。濡れすぎ」  満足気に笑う彼。 「んっ……」  まだ小刻みに痙攣している身体に舌が絡まる濃厚なキスをされ、一回治まった衝動がまた彼を求めている。  そういえば、いつもイかされてばかりだ。  今思えば私が結婚してたから、配慮してくれてたの? 「迅くんも気持ち良くなってほしい」 「えっ?」 「迅くんも一緒に気持ち良くなってほしい」  一瞬動きが止まった彼だったが 「わかった」    あっれ?  今の顔、子どもの頃と同じ意地悪じゃない迅くんだ。優しい顔してる。  再び唇を合わせたかと思ったら 「んんんッ!」  彼の指が私の中に入ってきて、恥ずかしいくらいの水音が部屋に響く。  快楽に悶えていると 「挿れるよ」  彼の声が耳元で聞こえたかと思ったら 「あっ!!」  グッと彼の身体の一部が入ってくる感覚を覚えた。  好きな人とのセックスってこんなに気持ち良かったんだ。  私の喘ぎ声と彼の吐息、身体を重ねる音が室内に響く。 「あーっ……。美月の身体、気持ち良すぎっ……」  彼の呼吸が乱れる。 「迅くん……。大好きっ」 「俺もっ……。大好きだよ」  彼の頬に手を伸ばし、自分からキスをした――。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

893人が本棚に入れています
本棚に追加