真実

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「まぁ、隠してたって孝介(あいつ)と関わることになった以上、いつかはバレると思ってたから。んで、俺のこと何かわかったの?」    髪の毛を拭いていたタオルをポイっと洗濯カゴの中に投げながら、彼は私に問いかけた。 「……。わからない」  正直に答えるしかないよね。  変な嘘をついても、この人には通用しなさそうだし。 「そっか」  彼はそう一言呟いた後 「髪の毛、ドライヤーかけてくる」  そう言って洗面台へと向かった。  今、一瞬、とても悲しそうな顔してた。  私だって過去にあなたと出逢っているのなら、思い出したいよ。  どうして教えてくれないの?  しばらくして――。  彼が戻って来た。  あれ?私服?  黒いTシャツにジーンズ。  これからどこかに出かけるのだろうか。 「美月。出かけるよ?準備して?」 「えっ!?どこに?」 「腹減った。飯食べに行こ?」    全く予想していなかった彼の誘い。  この状況でよくそんなこと言えるわね。  私、下着姿なんですけど。  シャワーだって浴びたいし、それに……。 「無理。行かない」 「なんで?」 「どうしても!!」 「命令って言っても?」  命令……。  そう、彼と私の契約において、彼の命令は絶対。  だけど――。 「シャワーだって浴びたいし、下着が濡れちゃってて気持ち悪いの!もちろん、着替えなんて持ってきてないし。こんなんで出かけたくない!」  なんでこんなこと素直にカミングアウトしてるんだろ。  さすがの彼だって引くよね。  いっそのこと、私と話したくないと思うくらい、嫌いになってくれれば良いのに。  私の強めの発言に彼は 「ハハッ」  声を出して笑った。 「っ……なんだよ。それ。そんな理由かよっ」  アハハハと彼はまだ笑っている。  そんなに面白いこと? 「マジヤバい。ツボった……」    こんなに笑うことができる人なんだ。  なんか人間離れしているような人だと思ってたけど。感情も読めないし。 「わかったよ。でも腹減ったし……。そうだな。デリバリーなら良いだろ?」  どうして加賀宮さんと食事なんか。  でも……。私もお腹空いたかも。  彼の笑っているところ見たらなんか安心して。なんて単純な思考なんだろう。
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