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落ちてきた「それ」
彼は孤独だったけれど、一人で出張するのはキライじゃなかった。
簡単に言えば、気楽だったからだ。誰にもジャマされず、自分のペースで進めることができる。
だがあるとき、まるで落下するように車の窓から車内に突っ込んで来たそれは、勢いよく彼の肩にぶつかり、助手席のシートの上にひっくり返った。
それはすずめだった。
すずめが、気を失ってひっくり返っている。
その日から彼は、望むと望まないとに関わらず、大切だったはずの「孤独」を、ほんの少し失った。
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