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保健室へ
「イテッ!」
慣れないことはするもんじゃない。立て看板を運んでいたら、角材のケバが思いっきり指に刺さった。
「痛そう〜! 誰か、とげ抜きとか持ってる?」
一緒に作業していた戸田が女友達に声をかけている。
「や、いいわ。保健室行ってくる」
俺はそう言って教室を出た。
「太陽〜! どこ行くん?」ペンキの買い出しから戻った歩が廊下で大声を張り上げた。
「うるせぇ。大声で名前呼ぶなって。変に目立つだろうが!」
「お前はいつも目立ってるから、いまさら名前呼んだくらいじゃ変わんねぇって。そんで、どこ行くん?」
「指にトゲ刺さったから、保健室行ってくる」
「マジで? 文化祭準備、サボりたいだけじゃなくて?」
「一応、怪我人様だぞ。いたわれよ!」
俺はニヤニヤしている歩にヒラヒラと手を振って、保健室へと向かった。
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