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058:罠
闇の中を歩く。どれくらい歩いただろう。
日付の感覚。時間の感覚すらなくなってしまったようだ。
「外に出たい」
オレのボヤキにゲーネッツが同意した。
「だな」
「今って外は夜なのかな?」
「さぁな。いずれにしても、どこかの小部屋で休みたい所だ」
「同感」
「脱出用の青の石碑。出てこねぇな」
ゲーネッツの言葉に俺は同意する。
俺たちの後ろには、さきほどブラックスライムから助け出した人達もいる。彼らに護衛を頼まれたためだ。
ちなみにブラックスライムからは大きな闇の魔石が手に入った。やはりと言えばいいか。この魔石はかなり高品質だ。高難易度だけあって、得られる物がかなり良質だ。
だが、それもこれも帰れなければ意味がない。
出口どこぉ。
俺たちは変調の少ないダンジョンに少し油断していたのかもしれない。
少し大きな部屋に出た。
「部屋だな。ここなら休めそうだ」
カイトさんの言葉に全員が頷く。
「いちおう、周囲を確認しよう。天井もだ。ブラックスライムに奇襲されるとか最悪だからな」
全員で手分けして周囲の確認を行って周る。
それぞれの所から返事があった。
「こっちは何にもない。大丈夫だ」
「こっちも同様だ」
「こっちもだ。何も無い。篝火を置いて中央に戻る」
部屋の出入り口。そして四隅に松明を置いて部屋を明かりで満たす。そして全員が中央に集まった所で、部屋の床がガタガタと鳴りだした。
カイトさんが「何事だ!」と叫ぶ。それに対してゲーネッツが叫んだ。
「落とし穴だ!」
その言葉に反応した俺たちは部屋から出るべく動き出した。しかし……
落ちる!
そう思った時には既に床が抜けて、俺たちは空中へと放り出されていたのだった。
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