精神科閉鎖病棟入院2

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精神科閉鎖病棟入院2

ふと、隣に座っていたおじいさんが「俺をトイレへ連れていけ」と私に言った。 トイレはすぐ後ろにあった。 おじいさんはその場でオムツを脱いでしまったようで、椅子の上には濡れたオムツが放置してあった。 座るところがないおじいさんは私の腕にしがみついてくると、私に「立て、立て」と何度も言う。 おじいさんからは、ものすごい腐敗匂がしていたが、別にどうでも良かった。 私は状況が何一つ理解できていないぼんやりとした頭のまま、とりあえず立ち上がると、おじいさんを連れてトイレの前まで連れて行った。 すると、看護師さんが一人飛んできて私を𠮟りつける。 「勝手なことはしない!!」と思いっきり怒鳴られてしまった。 その看護師さんはおじいさんをトイレへと座らせると、ドアを閉め、私を元の席へと引っ張って戻し、両肩を思いっきり叩くようにして座らせた。 「いてぇなこのやろう」と 私が言うと睨まれたので、口をつぐんだ。 またコンクリートに囲まれた部屋に、拘束具をつけられ閉じ込められたらかなわないと思った。 保護室はごめんだ、ただただ寒いし煙草も吸えない。 まあ、今も煙草は吸えないが、と思いつつ、椅子に大人しく座っていた。
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