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精神科閉鎖病棟入院1
ホストクラブのビルから飛び降り自殺をして、救急車で運ばれた私。
そんな私が連れて行かれたのは、どうやら精神科閉鎖病棟。
一度目は、頭を縫う為に外科にいたらしいのだが記憶は一切ない。
頭のてっぺんにあるハゲしか、その証拠はない。
で、まあ。
次に目が覚めたのは、後々患者の方々から「がっちゃん部屋」と呼ばれていると知ったのだが、所謂「コンクリートで覆われた、トイレしかない部屋」だった。
保護室と言うやつだ。
そこで、担架に乗せられたまま完全に動けないよう拘束する為の分厚い服を着せられ、放置されていた。
尿道カテーテルを尿道にぶっ刺されていて、オムツを履かされていることはなんとなくわかった。
薄暗く、とても寒いコンクリートに囲われた、ただそれだけの部屋で、私は「寒い」と呟こうとした。
でも出来なかった。
猿轡のようなものを口にされていた。
舌を噛んで自殺未遂をしないようにだろうか。
まだ頭がクラクラとした。
そしてすぐにまた私の記憶は途切れる。
次に記憶が戻った時に居た部屋は、そのコンクリートに囲われた場所ではなかった。
多分移動したことも、何かを誰かと話したことも、何もかも酒と薬の効果でぶっ飛んでしまったのだろうが、とにかく私は少し狭い、ナースステーションのような部屋のすぐ真横に隣接している部屋で知らない人たちと食卓を囲んでいた。
いつの間にか、着ている服は病院でよく患者さんが着ているあの半分浴衣みたいなやつになっていて、全然知らない人たちと一緒に席について、目の前の給食のようにお盆に乗せられたご飯を眺めていた。
お盆も食器も全てプラスチックで、箸は先が丸まっていた。
周りに看護師さんたちが立っていて、監視をしているようだった。
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