RE;BOOT

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 私は椅子から立ち上がり、各部位の駆動に問題ないことを確認すると、足早に部屋を出た。向かうのは武器庫だ。 「お待ちしていました、SNTKi-0017。装備は整えてあります」  出迎えたのは私と同じくアンドロイドで、型番はSNTKu。同じSNTKシリーズの、ヒトでいうところの兄弟にあたる機体だ。  原初のアンドロイドは、ヒトを目指して開発された。それ故にか最新型である私達もヒトに酷似した造形をしている。機体に雄雌の区別はないが、ヒトの容貌でいうならば私は若い女性に、SNTKuは若い男性に分類されるだろう。  西暦が2500年を数える現在、ヒトは最早地上には存在しない。かつて国と呼ばれた勢力ごとに、幾重ものシェルターに守られた地中深く、要塞都市を築いて生き長らえている。  代わって地上で活動するのは、地下からの命令で動く私達アンドロイドだ。この前線基地も、先ほどの部屋のような施設型AIと、私のような自律型アンドロイドのみで運営されている。  先の世界大戦でヒトは人口を大幅に減らしたため、戦争はアンドロイドによって担われることとなった。戦って破壊して破壊されても、地球が生み出した貴重な命が減ることはない。何度も修復されて永遠に戦い続ける、私達は自律する兵器なのだ。  そのために紛争は出口がなくなっているらしいが、それはヒトが解決を必要とすればいいこと。  私達はただ命令のままに、"敵"を殲滅するだけだ。
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