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大丈夫?
僕は、パソコンを立ち上げる。
15年前の動画をあげてくれてる人がいる。
再生して、当時の映像を聞く。
僕は、酔いが回ってきてうとうとしてしまっていた。
「間違いなく、この4件の犯行と同じやり口ですが…。今回の女児は、かなりの暴行を受けていました。身体中に体液が付着していました。」
マイクを持ちながら、リポーターさんが歩いている。
動画は、次に切り替わった。
「逮捕された少年は、未成年でした。少年は、まだ14歳でした。男児を狙っていたのは、少年の性的嗜好からくるものでした。少年は、警察の取り調べに女児をやった事はミスで、そのミスに気づいたから動揺をしてその場を立ち去った事を話しました。少年は、何度も暴行を繰り返し、最後に死んだ遺体に体液をかけて」
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「いち君、チー子」
「あのさ、中学生になったら僕と付き合ってくれない?」
「うん、約束」
「約束」
裸の彼女が、横たわってる。
その目が、ギロリとこちらを見た。
僕を睨み付けながら、彼女は言う。
「いち君が、あの日来てくれなかったからだよ」
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「兄ちゃん、兄ちゃん」
「はぁ、はぁ、はぁ」
「こんなんつけたまま寝たらアカンで」
【犯人は、女児の体に体液をかけて】
大和は、パソコンを止めた。
「あー。寝てたんだ。」
「疲れてたんやな」
「そう、みたいだな」
「このカメラの写真懐かしいなぁー。」
「大和のオモチャのカメラ」
「そやなー。あっ、美代ちゃんもいるやん」
「うん」
大和は、美代の写真を見ている。
「美代ちゃんのニュース恐ろしかったな」
「うん」
「兄ちゃんが、死なんでよかったよ。」
「あの日、バイトがなかったら助けられたかもしれなかったのに」
「兄ちゃん、自分を責めるなよ」
「僕は、人殺しを呼び寄せる。」
「そんなわけないやろ」
「そんなわけあるよ」
大和は、僕の肩を叩いた。
「兄ちゃん、いい加減、幸せになってええんやで」
「いつか、考えるよ。」
「俺、明日から紗奈と住むけど、兄ちゃんこんな動画ばっかりみたらアカンで。美代ちゃん時みたいに心配なるわ」
「ありがとう」
「スーツ出すわな」
「ありがとう」
大和は、そう言って部屋に行った。
僕は、美代の写真を見ていた。
美代が、僕に告白をしてきたのは中学三年の夏休みに入る前だった…。
チー子との散歩は、相変わらずで初めて告白した夢子ちゃんを僕は待ち続けていた。
夢子ちゃんが、死んだ事にも気づいていなかった。
もっとちゃんとニュースを見とけばよかった。
殺された場所は、違う場所だったから、あの公園が封鎖される事もなかったから気づかなかった。
僕は、愛する人を犯人に捧げてばかりだった。
やっと、前を向こうと思っていた。
夢子ちゃんを思い出にして、美代と歩いて行こうって、やっと決めたんだ。
それなのに…
それなのに…
僕は、涙目で起き上がりパソコンで入力をする。
【女子大生連続殺人事件】
パソコンで検索をかけると、出てくる。
あの日僕は、犯人に会った。
「お前、何でその部屋から出てきた。」
「君が、彼氏?」
「ふざけるな」
全身が、真っ赤に染まっていた。
「へぇー。」
棒つきのキャンディを口に加えながら…。
チュパ、チュパと気持ち悪い音を立てる。
カツン、カツン。
僕に、歩み寄ってきた。
殺されたってよかった。
だから僕は、あいつに向かって走った。
のに…
のに…
「お前、何をしたー」
「御愁傷様。君は、誰も助けられない。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
えっ?
気が狂ったように笑いながら
犯人は、飛び降りた。
僕の目の前で…。
ドスンッて、音がして、下を覗くと犯人が死んでいた。
僕は、美代の家に入った。
もう、そこに人など存在していなかった。
お気に入りの真っ白なルームウェアは、真っ赤に染まり、毛布のように被せられ、捲ると裸だった。
全身が体液にまみれ、暴行された美代がいた。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
事件から、二ヶ月後、犯人が、アパートに残していた犯罪日記が週刊紙に公開された。
その内容に、僕は絶句したのを今でも覚えている。
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