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⑪チャペルにて
本当は桜が咲く頃に式を挙げたかったのだが、3月の終わりになってしまった。
私は、控え室の窓から咲きそうにない桜の木を見ながら、今まであったことを思い返していた。
福田さん…彼女がいたから私は、松木さんという存在に気付くことが出来、好きになっていった。
自分の気持ちを封じ込めて、隠していた。
森本さん…彼女がいたから、松木さんと話をする機会が増えた。
堀口さんがいたから私は、自分の気持ちに気付くことが出来たのだと思う。
彼女が私たちの邪魔をしなければ、松木さんとは付き合ってなかったかもしれない。
今まで出会ってきた人、これから出会う人、いろんな人との繋がり全ては、一本の糸で繋がっていくのかも…。
そんなことを考えながら、松木さんと一緒に一歩を踏み出そうと松木さんが…雅教(まさのり)さんの待つチャペルのドアをあけた。
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