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②友達への紹介
福田さんが辞めて、台風が近付いて来た頃、職場の上司に合コンみたいな場を作ってもらった時に、松木さんも来ていた。
「たまたま近くの席になったので、
「松木さんの友達で誰かいい人いませんか?」
「ん?」
「私の高校の時の友達が誰かいないかな?って、言われて…」
「すぐには、出てこないし…しばらくは仕事も忙しいから…」
「いつでもいいから…松木さんと松木さんの友達の都合がついたら、私に連絡してもらえますか?
私の連絡先を教えておきますね」
私は、スマホを取り出し、電話番号・メアド・LINEを松木さんに教えた。
松木さんから連絡が来たのは、1か月後だった。
『お疲れ様。
職場の同僚と都合をつけたので、連絡しました。
来週の金曜日どうでしょうか?』
私は、友達に連絡をすると、
『OK』
の返事が来たので、松木さんに連絡し、金曜日に私と松木さんと同僚の方と会社のロビーで待ち合わせることにし、友達とはお店の近くで待っていてもらうことにした。
ロビーであった、松木さんの同僚の方は以前のボーリング大会にも来ていたので顔だけは知っていた。
お店の近くに行くと友達はすでに待っており、その場で紹介をすることにした。
「私の高校の時からの友達の森山勢以子さんです」
「森山です。
ヨロシクお願いします」
「で、私が以前仕事を教えていただいた松木さんです」
「松木です。
俺の同僚の久元くんです」
「久元です。
ヨロシク」
紹介が終わり、お店に入った。
松木さんが予約を入れたのは、とってもおしゃれなイタリアンのお店だった。
四人で乾杯した後で、久元さんが言いにくそうに、
「実は、もうすぐ結婚するんだ」
衝撃的な告白をされた。
「そうなんですね
とりあえず、もう一度、乾杯をしましょう」
その後は、とりとめのない話をしていた。
お店を出るとまだ時間があったので、
「どうしますか?」
ど私が松木さんにたずねると
「私は、帰るわ」
友達の森山さんが言ったので、仕方なく私も帰ることにした。
「久元さん、森山さんを駅まで送って下さいね」
「うん」
「今日は、ありがとうございました。
お疲れさまでした」
久元さんに言い、森山さんに、
「また、連絡するから」
と、2人と別れた。
私は、松木さんと一緒に駅まで歩いた。
「森山さん、どうですか?」
「ん?
あんまり話してないからわからないかな?」
「前から聞いてみたいことがあったんですけど…」
「ん?」
「付き合ってる人はいないんですか?」
聞いてから答えを聞くのが怖くなったが、松木さんを見るとそんな事を聞かれるとは思っていなかったようで、驚いた顔をしている。
私が『冗談ですよ』と、言う前に、
「どうして?」
「え?」
少し躊躇したが、
「福田さんとは…」
福田さんの名前を聞くと松木さんは少し嫌そうな顔をしたが、
「その人の事も含めて話さないといけないかな?
…話せば長くなるかもしれないから、明日の朝10時半ぐらいにここの改札口に来てくれないか?」
少し不安になったが、
「わかりました。
明日の10時半にここの改札口で待ち合わせですね!
忘れたらダメですよ」
「はいはい」
「明日、楽しみにしてますね!
お疲れさまでした」
「お疲れさま」
私達は改札口を入り、ちょうど来た電車に乗って帰宅した。
次の日、少し早めに家を出て、松木さんのとこに行くための手土産を買い、改札口へ向かうとすでに松木さんが改札口前で待っていた。
「おはようございます。
昨日はすみませんでした」
深々と頭を下げると、
「おはよう、気にしてないよ。
行こっか」
と、改札口を通りホームで電車を待っているとすぐに来た。
「どこに行くんですか?」
「とりあえず、俺の部屋…かな?」
少し照れたように言う。
それに松木さんの様子も少し違うような…緊張してるというよりも…何か考え事をしていて思い詰めているって感じ…?
とにかく話しかけられる雰囲気ではなかったため私たちは無言で電車に乗った。
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