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~居酒屋にて~
星川さんとまっちゃんが店を出てから、改めて咲桜ちゃんに問いかけてみた。
「あのさ、あの2人をくっつけようとして…さくらちゃんは平気なのか?」
「ん?
平気だよって言いたいけど…複雑かな?」
「だろうな」
「星川さんが涙を流したのを見て、抱き締めそうになったんだけど、お店のまっちゃんを見て止めたんだ」
「ん?」
「長い付き合いのいのっちなら俺の性格知ってるだろう?」
「超がつくほどの人見知りで家庭第一!だよな」
「家庭第一…かどうかはわからないけど…」
咲桜ちゃんが苦笑する。
「で…本当のところ星川さんのことどう思ってるんだ?」
「俺って目つきも悪いし本当に人見知りで仕事になると超がつくぐらいに完璧主義で、派遣の女の子も何人か泣かして辞めていっただろう?」
「そうだな」
「そんな俺を怖くないって…仕事に対しても真面目で不器用ですよね?って言ってくれたんだよ。
そんな彼女のことを嫌いになんかなれないよ」
「!!」
「そんな俺の気持ちに彼女は気付いてないみたいだけど…」
「………」
「今、俺の嫁さん妊娠してるのは知ってるよな?」
「ああ」
「実は…彼女のことを思い嫁さんを抱いたって言ったら俺のこと軽蔑するか?」
「軽蔑はしないけど…。
何で俺にそんな事を話すんだ?」
「誰かに聞いてもらいたかったんだよ…」
お猪口に入っているお酒を飲み干し、咲桜ちゃんが、
「まっちゃんには、星川さんみたいな人がいいと思うよ。
それに…まっちゃんが飲んでる時の星川さんを見て『可愛いな』って呟いたんだよな。
まっちゃんは、無意識だったと思うけど…」
「そうだったんだ。
まっちゃんもいろいろとあったから…うまくいくといいよな」
「ああ、あれは、最悪だったからな…」
「そうだな…あれは、きついよな」
俺たちは、福田さんとまっちゃんの会話を偶然聞いてしまったのだ。
まっちゃんは、気付いていなかったが…。
「俺、結婚してなかったら星川さんと付き合いたかったな」
ポツリと呟きお猪口を置いた咲桜ちゃんが何だか寂しげに見えた。
「今日の話は聞かなかったことにしておくから、咲桜ちゃんのおごりな」
いのっちが俺の肩をポンポンと叩いて席を立ったので、仕方なくカバンから財布を出しレジへ向かった。
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