時代は変わったのか?

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 祖父は“明治の男”だ。「(めし)」「風呂」「寝る」しか口にしないような典型的な明治の男である。食事が終わり、箸を置こうか置くまいか、といった頃になると、絶妙のタイミングでスッ!と「お茶」が出てくる。祖母の神技である。いや、ここぞ、といったところで出さないと祖父の雷が落ちるのだ。「まだだ!」「遅い!」。永年の経験から会得した職人芸ともいえる。  父は昭和ひと桁生まれだ。彼もまた、祖父の血を受け継ぎ、かなりの亭主関白であるが、祖父ほどの威厳はなさそうである。さすがに黙っていては何も変化はない。とはいえ「お茶!」とひとこといえば、母がサッ!と出してくる。
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