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「いや。今日なら教授も居るって言ってたし、早いうちに報告に行きたいから、きみと一緒に出ようかな。そっちのお土産もあるし」
「……あんた、いくつ土産買って来たんだよ……」
「日頃の頂き物やお付き合いもあるから、とりあえず足りないことのないように買ってきたよ」
どこのオバサンだよ……って思うけど、そういうところがうちの母ちゃんと気が合いそうな気がしなくもない。
……もしも。
……難しいことだろうけど。
異性じゃなくても、俺の大事な人として家族が認めてくれたら、嬉しいだろうなと思う。
認めてもらえなくても、離れる気はないけど。
でも、それってのは家族を捨ててこの人を取るってことだから、出来るなら、そういう形にはしたくない。
「……つか、奏人さん。それで飯足りんの?まだお握りあるけど」
「どうしようかな。……きみ、半分食べないかい?ひとつは多い」
「いいよ。どれ食べる」
「どれでもいいよ」
だろうな。
ツナマヨとか肉系とか、この人がダメそうなのは最初から買ってない。
「じゃ、これでいい?」
――――生まれて初めてこの人と付き合うまでは、知らなかった。
好きな人と飯食って何でもない言葉交わすだけの時間が、こんなに大切だってこと。
「……俺、きれいに半分に割れる自信ないんだけど」
「じゃあ包丁で切るかい?」
「お握りを?」
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