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――わたし……
人間でなくなってしまった。そう実感した途端、身体の奥から込み上げてきた絶望と、ルーカスがずっと以前から自分を好いていたのだという歓喜とがレイネシアの思考を綯い交ぜにした。
「レイア。君を眷属にするのは初夜まで待っているつもりだったけれど……レイアが悪いんだよ。こんなものを私に使うから。もう君は……一生、私のものだ」
ルーカスは嬉々としてパフスリーブからレイネシアの腕を引き抜いた。素肌を晒したレイネシアのコルセットを器用にほどき、取り去っていく。
「でんっ、か……なに、を……」
血を抜かれ思うように身体を動かせないレイネシアの力では、ルーカスの行動を制することなどできるわけもなかった。抵抗も虚しく、あっという間にドレスを剥ぎ取られてしまう。
「私を拒まないで、レイア。君を嫌いになりたくない。それにね、君の綺麗な手首を縛って傷つけたくはないんだ」
「っ……!」
「言っただろう? こうしないと、レイアは狂ってしまう」
優しく幼子をあやすようにルーカスがレイネシアに囁きかけた。これ以上拒めば、ルーカスがレイネシアの身体の自由を物理的に奪うつもりがあるという意思表示だった。
長い間慕ってきた彼に嫌われればレイネシアは息ができなくなる。思わず抗う手が止まってしまった。その間に、ルーカスがレイネシアのドロワーズを奪いとっていく。
「レイア……私だけのレイア。ずっとずっと、君が欲しかった」
生まれたままの姿になったレイネシアを陶酔を持って見つめたルーカスが自らの口を使い手袋を取り去った。生身の手のひらでレイネシアの双丘をそっと揉みしだいていく。
「あぁっ……!」
外気に触れて硬くなりはじめた先端に触れられた途端、レイネシアの身体の奥に何とも言えない切なさが生まれた。
「今日は確か閨教育だったんだよね。実践といこうか、レイア」
「でん、かぁっ……」
目の前の深紅の瞳に淀んだ炎が宿っている。それを視認したレイネシアの心を妙な高揚感が支配した。
「ヴァンパイアの唾液には麻痺毒が含まれているんだ。むろん、まがいものである私も同じ。吸血された直後には催淫効果がある。それにね、さっき防音の魔法と、誰も立ち入れないように結界魔法を張ったから。だから……存分に乱れていいんだよ」
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