○○が落ちてきた

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ただ、雇い主でも旦那様も奥さまも、子供でも働くという状況に関しては環境的にあるとは認めても、大人も休む薮入りに働かせてしまっているというのは、どうにも気性にそぐわないらしい。 だから代わりにという具合で、屋敷にはいるけれども自由な時間というのも悪いから、何かしたいことはないか?何もないのなら、食べてみたいお菓子とかないかと?と尋ねられた。 奥さまは俺と後輩が無茶なことは言わないのはご承知だし、俺もその気遣いを無駄にするのも悪いと思うのだが、急には思い浮かばない。 だから、俺達は精一杯の贅沢を考えて思い付いた贅沢として好物の米、故郷は米所でも有名だったのでそれを食べたいというのと、後輩は母親がよく作ってくれた魚の鍋を食べたい、若しくは銃の手入れを時間を気にしないでしてみたいという旨を口にした。 そのどちらも、お屋敷の財力があれば難しい事ではなくて言ったその日の内に、叶えてもらって、俺も後輩も大いに満足できたので、お行儀良く礼を口にしたのだが他の薮入りの面々がまだまだ、休暇中であるので、どうにも座りが悪いらしい。 俺も後輩も、これ以上は娯楽というものが思い付けない状態になっているところで、奥様共々困っているところにまるで時期を見計らっていたという調子で、姿を表したのが神父様だった。 「小用があってね」と、こちらの心の内を拾い読んだ神父様さまは、支援者でご寄付をしてくれるご婦人達を虜にしているを同時にしつつ、それからは鶴の一声という具合で、ある提案をなさった。 「折角の薮入りだ、子供は子供らしく遊ぶのが一番だ。おまえ達は遊ぶのが苦手かもしれんが、人は、すぐ側にいるじゃあないか。 そうすれば、御前達は遊びを覚えて今度から困らず、遊び相手として御前達を望んでいる方達は大喜びだ!」 そんな事を演説をするように口にして、神父さまがまるで舞台俳優のように身を翻したその先には、果たして目を輝かせている、坊っちゃんと、薮入り中でさすがにお稽古ごとも休み中の(後輩の)弟君がこちらは頬を紅潮させて立っていた。 その後ろには、坊っちゃんの兄君が、優しい笑みを浮かべて一緒に過ごすつもりなのが伺える笑顔で、既に紳士といった具合に佇んでいる。 俺は何となく予測が出来ていたけれども、後輩は「ヴェ」という独特のため息を即座に出していた。 そして、俺達は坊っちゃん達と遊ぶことになるんだが、どこかにでかけるのにも中途半端な時間でもあった。
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