小さな夢

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それから俺たちはほぼ毎日のように会っていた。話をしなくても、お互い同じ空間で、歌の練習や絵を描くことが楽しくなっていた。 そして、中学校に入学した日も俺たちは夕方に会った。 公園にはもうリーフが来ていて、桜が舞う中、スケッチブックを開いていた。まだ会って数日だというのに、制服を着ているリーフはなんだか大人っぽい。 「リーフ!入学おめでとう!今日も絵画教室?」 「ネオンもおめでとうね!今日は絵画教室はお休みよ。…ネオンに制服みてほしくて。セーラー服よ!素敵でしょ〜!」 「う、うん素敵…似合ってる!」 俺はなんだか顔が赤くなってしまった。 「ネオンのとこはブレザーなのね!ブレザーもいいなぁ。」 リーフがまじまじとみつめてくる。俺は恥ずかしくなって顔を背けてしまった。 「そうだ!私とネオンの絵、描いていい?」 「え?」 「この制服を着てる私たちの絵!絵画教室で人物の描き方も習ったの。ねぇ記念に描いていい?」 「う、うんいいよ…」 俺は嬉しいやら恥ずかしいやら複雑な気持ちになった。でも素直に嬉しい。 「そうだ!俺はリーフのために歌を歌うぞ!俺のお気に入りの歌!」 俺はリーフの目の前に立って歌を歌いはじめた。 「歌を聴きながら絵を描けるなんて幸せよ〜」 リーフはにこにこしながらも真剣に鉛筆をはしらせる。 「うーん、ネオンは描けたけど、私自身が描けない…手鏡持ってくればよかった…」 リーフがうなる。 「お、俺が描こうか?下手、だけど」 「いいの?頼む!」 リーフはスケッチブックと色鉛筆をこちらに渡す。 「私、歌うね!」 リーフは俺の目の前に立って歌いはじめた。透き通ったきれいな声だ。だが… 「ちょっと音痴だね。」 「ひどーい!」 リーフはほっぺをふくらませながらも、楽しそうに歌い続ける。 俺はリーフが描いてくれた俺の絵の隣にリーフを描く。すごく難しい… 「できた!」 俺はなんとか描き終えて、満足げにリーフに見せた。 「おぉ!…ちょっと輪郭が崩れているね、あとバランスも悪い」 「ひでぇや!」 「でも素敵よ〜」 2人で顔を見合わせて笑った。気づけば日が沈んでいて、電灯の灯りがぽつぽつとつきはじめた。 「帰らないとな。今日は入学祝いに外食するんだ」 「あら、うちもよ。お互い楽しみましょうね!この絵、コンビニでコピーしてネオンにあげるわね!」 「本当!?わー写真撮るよりずっといいや!」 俺はばんざーいと両手をあげた。 「次会った時に渡すね!じゃまたね!」
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