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どしゃっ。
重くて硬い物体が地面にキスして潰れる音を聞きながら、スネイクは銃を構えたままだ。
「どんな悪党より政治家より、魔法使いより悪魔より。油断の出来ない相手、それが科学者です」
銃を入れたバッグを捨てて、さっきまでそこにあった司令塔を探す様に、秋場の両手が肩の上を彷徨う。
そして指先が切断された首に、ぶすりと差し込まれた。
「Dr秋場。あの日、愛し合う貴方とトーラ様は、それぞれの夢の為に別れを選んだ」
すると傷口から、命令された様に血液がどろりと湧き上がり、頭のサイズの赤い球を作る。
「トーラ様は約束通り、世界でも指折りの女優になられましたよ。
そして貴方も……」
ブーン……
次に秋場の両腕から電子音が響くと、赤い球に髪が生え目が出て口が開いて鼻が付き。
みるみるうちに秋場の頭部は再生されて行く。
「我が国が誇る科学医療技術省の巨大なビルが何坪あるか知りませんが。
組織の複製・促成培養・DNA操作といった技術の全てを、貴方は一坪もない小さな両腕の中に閉じ込めた」
「ようスネイク。生まれ変わった気分ってこんな感じかな?」
「貴方も約束を守り、夢を叶えたのですね。
人呼んで『死神を祓う者』、世界最強の科学者よ」
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