8、蜜月

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♢ 頭を優しく撫でられる感触を感じ、微睡の中からゆっくり意識を浮上させる。 重たい瞼をゆっくりと開ければ、ぼんやりと目の前に広がる端正なお顔。 枕に肩肘を突きその上に頭を乗せた渓くんが、優しく目を細めながら私の髪を撫でていた。 色気がダダ漏れているように感じるのは、昨日の今日だからだろうか。 「……お、おはよう、ございます……」 一緒のベッドで目覚める気恥ずかしさを感じながら朝の挨拶をすれば、 「ああ、おはよう。……身体、キツくないか?」 渓くんが心配そうに眉を下げた。 「あ、えっと、ちょっとダルい感じはありますが、キツくはない、です、多分……」 「……そうか。なら良かった」 安心したように微笑む渓くんにきゅんとなる。 ……あれ? そういえば渓くんが私より先に起きてるなんて、珍しくない? ひょっとして私、かなり寝過ごした……⁉︎ 「渓くん、今何時ですか⁉︎」 「ん?もうすぐ6時になるところだな。今日土曜だから、まだゆっくり休んでてもいいぞ?チェックアウトまで時間あるし」 ガバッと起き上がり慌てて私が聞けば、渓くんが寝そべったままのんびり答える。
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