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嘲笑を浮かべる渓くんに、私の胸はぎゅっと締め付けられた。
ーー渓くんも、私と同じだった?同じように、ずっと葛藤していたの?
「でも結局"家族同然"って関係のままじゃ、オレが言おうが言うまいがいずれお前はオレから離れていっちまうってことに気がついた。あの大谷くんのおかげでな。ーーだから翠。もう一度言う」
渓くんの、熱のこもった真摯な眼差しが私を捕らえる。
「オレと、本当の家族になって欲しい。そして、ずっと側にいて欲しいーー」
同時に頬に添えられていた手が離れ、その手が今度は私の左手を取る。
そして薬指にスッと嵌められた指輪。
……ふふ、サイズがぴったりなのは、きっと佐和さんのおかげ、なのかな?
そう思いながら、あふれる涙はとどまることを知らない。
もう、胸がいっぱいで声にならない。
だけど、私も伝えたい。
伝えてはいけないとずっと心にしまってきたこの気持ちを、ちゃんと渓くんに届けたい。
「……わっ、私も……っ、私も、ずっと渓くんが好きでした……!渓くんと、本当の家族になりたいです……っ!ずっとずっと渓くんの側に、いさせて欲しいです……っ!」
涙を拭ってつっかえながらも一生懸命言葉を紡いだ私を、渓くんはぎゅっ、と力強く抱きしめてくれた。
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