8、蜜月

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私もそっと渓くんの背中に腕を回す。 この悩んでいた2週間が嘘みたいに、心地良い渓くんの体温に包まれながら幸せで満たされる。 「くそ……。可愛過ぎる……」 だけどしばらくして渓くんが苦しげに呟き、そっと私から身体を離した。 そして甘い熱と色気を孕んだ瞳で私を捕らえる。 「出来れば今すぐお前を抱きたいところだが……、」 「だっ、抱きた……っ⁉︎」 そのストレートな物言いに、一気に熱を帯びた私の顔。あまりの衝撃に、涙も一瞬止まった。 「ああ。でもその前に、翠に見せたいものがある」 そんな私を見て、渓くんは妖艶に微笑み私の頬をするりと撫でたあと、足元のバッグから封筒を取り出す。 そして「開けてみろ」と私へ差し出した。    ……ま、待って……。 気持ちが通じ合ったってことだけでもう十分なのに、私今日渓くんと心だけでなく身体も結ばれちゃうの……⁉︎ 湯気が出そうな程火照る頬と、ドクンドクンと激しく脈打ち出す鼓動。 浮かんでくる妄想を慌てて掻き消しつつ、何とか封筒を受け取り促されるまま開ける。 そして出て来た用紙に、私は目を見張った。 「これ……」
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