悪夢は現実か。

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悲惨な姿のルームウェアの半ズボンに少しばかり驚きながら、上半身もお揃いのルームウェアを見てみると、同じようにほとんどが黒に染まって、しかもそれはところどころである。 特に脇と胸のあたり、後は見えないけれど湿り具合からすれば、背中もきっと黒になっているだろうと、他人事のように思いながら肌に張り付いて着心地の悪いルームウェアを柳生は脱ぎ捨てた。 そうして、クローゼットから新しい真っ黒の色をしたルームウェアを引っ張り出して、少し乱暴な手付きで着て、まだ自分の汗で湿っているベッドに横になる。 さっきまでは異様に耳に響いていたドクドクが、いつの間にかチクチクと時計の針の音に変わって柳生の耳に響く。 その音につられてベッドサイドの時計を見れば、時刻は朝の5時。 起きるにはさすがにまだ早くて、でも目を閉じればあの悪夢が蘇ってくる気がする。 そう思った柳生は、いつもの7時のアラームが鳴るまでただ、目の前の天井を眺め続けることに決めたのだ。 そんなことをしても、あの時のあの出来事がなかったことにならないなんてことは、痛いほどにわかっているのに。
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