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噂のヤンキーくんとは。
「佐久良くん、ちょっといいかな?」
「お、おう。」
柳生の2つ目の姿を見抜いた当の本人である佐久良に、柳生は声を掛ける。
案の定、クラスの奴らは、「え?優等生の柳生が、なんで校内一怖いヤンキーの佐久良に話しかけてるの?」と、興味津々の眼差しを向けている。
そんな想定内すぎるクラスの奴らの反応は、柳生にとっては全てが想定内。
「先生が佐久良くん、連れて来なさいって言うから。ちょっと行ってくるわ。」と、誰も疑うことのない笑顔を貼り付けてクラスの奴らに言うと、柳生は佐久良の腕をやや強引に引っ張って、多目的室に連れ込んでいた。
バタン、と閉まったドアの音がやたらと耳に響いたこの部屋は、防音の効果が効きすぎているため、一度入れば外の騒がしい日常は見事なまでにかき消されてしまう。
ということは逆に、この部屋でどれだけ叫んでも暴れても何をしても聞こえないということにもなる。
まあ、いくら防音だからといって、学校でヤルなんてさすがの俺でも思い立たないし、学校の奴らとなると、後々面倒臭いことにもなるだろう。
やや強引に連れ込んだ目の前にいるヤンキーを放ったらかしにしながら、柳生はそんなどうでもいいようなことを考えていた。
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