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蓮 side
「蓮と付き合えるやつは誰でも幸せだろ、あと…そうだな、おまえに抱かれる気は無いが、気が向いたら抱いてやらんこともないぞ?」
そう言って出ていく幼馴染。
「…反則だろッ!」
身体中から湧き出る衝動に耐えきれず壁を殴る。
神宮 暁、今まであった人間の中で一番純新無垢な人間だ。
しがらみが多い立場だろうが、神までもがあいつに微笑んでいるように息をするだけで全てが上手くいく。
「なんや委員長、随分やられたみたいやなぁ」
がちゃりと音がして奥の個室から関西弁の男が出てくる。
風紀副委員長、柊 慎哉
生徒会での情報担当が兎妃なら、風紀の場合はこいつだ。
さっきのやりとりを防犯カメラで見ていたんだろう。
「あいつ、自覚があってああやってんのか?」
全人類が見惚れるあの容姿。あいつは自分の容姿の良さをそこまで理解していないと思っていたが。
「多分ないやろ、無意識やで。恐ろしいなぁ」
そう言ってケタケタ笑うこいつに殺意が湧く。
「俺から見てもえっぐいほどかっこいいわぁ、カイチョーさん。1回ぐらいヤれへんかなぁ?」
は?
「ナメてんのか?俺ンだよ。」
あいつを見るのは俺だけでいい。全員散れ。
「怖ぁ!そんな睨まんでもええやん!ガチで狙っとる訳ちゃうんやから!」
「お前の言うカイチョーさん関連の冗談を俺の前で言うんじゃねぇ。潰したくなる」
これは冗談じゃねぇぞ。伝わるだろ?
「はは、そんな焦らんでも。今会長さんに一番近いんは委員長や」
そうだな、そうだよ。だが大衆の前ではどうだ?「生徒会と風紀委員会は仲が悪い」そんな共通認識があるせいで全く話せない。
近寄るだけで喧嘩か?と騒がれる。その悔しさたるや、俺にしかわからないだろうな
「あ、せや委員長。なんか遅れて新入生来るらしいで。なんでも理事長の甥っ子らしくて、ほんまはこんな学校受からへんはずの学力やのに理事長が甥っ子可愛さに無理やりねじ込んだんやってー。その甥っ子、今外国おんのやけど入学式の日1ヶ月間違えとったらしくて1ヶ月後まで入国できひんから歓迎会のちょい前ぐらいに来るんやってー。けったいやなぁ。」
慎哉の話しを聞けば聞くほど深くなる眉間のシワを自覚する。厄介事の香りしかしない。
「…おい、まさかそいつの面倒を俺に押し付けてんじゃないだろうな?クソ理事長」
「んー、お守り役は会長さんみたいやなぁ、ほんでもってこいつ、春夏って言う族の総長さんらしいわ」
「あ?」
口から自然と出た自分でもわかるほど低い声。
俺の怒声に慣れている慎哉ですら肩をビクつかせている。
「風紀委員会を集合させろ。緊急会議だ」
ぽっと出のクソ野郎の相手をする程暁は暇じゃねぇよ。
「委員長、それは権利濫用なんちゃうん?」
「風紀は俺がルールだ。それを知った上で所属してんだから文句を言うやつはいねぇだろ。」
ああ、それから、
「天樂に命ずる。「春夏」を潰せ」
暁の不安は俺の全てを持ってして取り除く。
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