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ピピピピ、と無機質なアラーム音が響く。
「もう朝か」
睡眠時間がないよりはマシだ、と自分に言い聞かせながら部屋を出る用意をする。
(食欲がない…朝は抜くか)
特別用意が必要なことはないのですぐに準備が完了した。
「よし、いってきます」
部屋を出て生徒会室に向かう。まだ早朝なので寮の外に出ている人は誰も居ないと思いきや、生徒会室への通り道に人影がみえる。
なにか音が聞こえる…あそこは数学準備室か?
「そこで何を?」
ドアが開きっぱでこちらに気づいていないようなので声をかける。
「あ?ああ…暁か!すまん、今手空いてるか?」
そう言ってこちらを見てくるのは担任だ。
「右京先生か。あいていないことはないが?」
本当は手は足りないほどだが、右京先生は我らが3Sの担任だから力になりたい。
「悪ぃ、昨日左手首を捻挫しちまってよ…お前も左利きだったよな?」
「ああ、それが?」
「今日の一時間目が小テスト返却日なんだが丸つけが出来ねぇんだ。だが他の先生に頼む訳にも行かねぇし、その辺の生徒捕まえる訳にも行かねぇし。お前なら首席に加えて丸の形も一緒だから丁度いい。頼めるか?」
丸つけ?本当におれがしてもいい物なのか?
「先生が良いと言うなら引き受けよう。そうだな、手間をかけるが8時に生徒会室まで取りに来てくれ。それまでに終わらせておく」
「お前…!マジでいいやつだな…!持つべきは賢くて優しい生徒会長だ。サンキュな!」
そう言って渡されたのは120枚のテスト用紙。
「………なんか多くないか?」
「いや……ちょっとふざけて3枚で1セットの小テストをしたんだよ…60分かけて……なんだ…その……すまん」
俺が丸つけするつもりだったからさ、と付け足して笑う先生。それは小テストと言うのか?と思いつつも左手首の包帯を見て、おれがやるしかない、と心に決める。
「構わない。では8時にまた会おう。はやく治せよ」
にしても、先生は大変だな。こんな朝早くから一人で授業の準備をしているんだから。
(心から尊敬出来る仕事のひとつだな)
しばらく歩くと派手な扉が見えてくる。生徒会室の扉は無駄に豪華なんだ。
扉に手をかけてみると鍵が開いている。いつもなら最後の人が鍵をかけて帰るので昨日はおれが鍵をかけて帰ったが…誰かいるのか?
「かいちょう、おはよう」
「千か?まだ7時半だぞ?」
普段生徒会は8時に集合となっている。担任と喋っていて7時半におれはついたが、見た感じ7時にはこの部屋に居たようだ。
「かいちょうが仕事いっぱいしてると思って」
手伝いに来た、と笑う千。優しさに溢れてるな。
「ありがとう。だが…自分のは終わったのか?」
そう聞くと少し顔が曇る。何かあったのか?
「おれのやつは輝が引き継ぎしてくれた。…なんか、遅れて?新入生が来るらしくて、理事長?から、パソコンにいっぱい送られてくる」
遅れて新入生?どういうことだ。こういうイレギュラーは先におれに伝わるはずだ。
「なんか、かいちょうには内緒って蓮くんが言ってた。だから内緒にしたの。ごめんね」
「蓮が?」
「うん、でも、メールいっぱいくるからわかんないの」
そう言ってメールフォルダを開いたパソコンを渡してくる。いくつか開いてみた内容を要約すると、『かわいい甥っ子が遅れて入学するから虐められないようにしてね、よろしく!』といった内容だ。
力加減を誤ってパソコンを破壊してしまわないように気を使いながら千に返し、深くため息をつく。
この学園の理事長は世襲制で代々姫宮家が務めている。…何が言いたいのかというと、自然と将来が約束されている家なので向上心は地に落ち、とても身内に甘い家へとなってしまっているのだ。
「…千、新入生くんのプロフィール出せるか?」
そう問いかけるとこくりと頷きタブレットを渡してくれる。
礼を言い受け取ると、いいよ、と笑いかけてくれる千。
(…と、まずは確認しないとな)
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名前:姫宮 遥
年齢:16/身長:164
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性格,備考:自己中心的で協調性がなく、一般的ではない価値基準を持っており、中学では問題児として扱われていた。族「春夏」の総長であった(現在「春夏」は「天樂」に敗北し、解体状態に陥っている)。現在は海外で生活しており、入学の日を1ヶ月勘違いした為入学が遅れた。
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