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友達
一緒に飲んだあの日から本当に付き合う前と同じようにくだらないメッセージが届いたり、遊びに誘われたりした。
「おーぅ!久しぶり〜っ!」
だが、集まるのは決まって3〜6人。
2人きりは居酒屋で会ったあの日のみだった。
「あれー?お前らまた付き合ってんの?」
「違ぇよ!今は友達!別にいいだろ?」
バレーボールを真上にポーンポーンと上げながら誘ってきたくせに将太はこっちを見ないようにする。
「ちょ、今日人数少なくね?何するー?ドッヂ?」
「はぁー?大学生にもなってドッヂかよ!」
フザけた提案にボールを止めて片眉を吊り上げる将太は本当にあの頃のまま。
「いや、懐かしくね?」
「は?ガチでやんの?」
肩を組まれて面倒くさそうなその顔も、チラッとこっちの様子を窺うその仕草も変わっていない。
あの腕の中の温もりも、手を引く力強さも、柔らかくて熱い唇の温度さえも知っているのに。
今、将太と私との間には見えない何かがある。
あの温もりにまた触れたいと思うのに……それでも将太はまだ“違う”と言うのだろうか。
この“好き”は将太の言ってくれる“好き”と何が違う?
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