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本当に連絡もなくて、朝も会わなくなって……大会で久々に見かけた将太。
こっちを見ることはなく、俯いてむしろ私を見ないようにする姿にショックを受けた。
18歳の成人式だって……将太が遠い。
どうして別れを告げたんだろう。
むしろ疑問に思うほど、将太を目で追っていた。
将太に肩を抱かれるのも、抱き締められるのも好きだった。
軽くキスをして、離れた瞬間にまたすぐ唇を塞いでくるあの厚い唇も。
しょっちゅう前髪を掻き上げるあの節張った手も。
いくら筋トレしたってなぜか逞しくはならないあの腕も。
すぐにじっと見つめてきてヘラッと笑うあの顔も。
将太と別れた後、何人かと付き合いはしたがすぐに別れを繰り返していた。
しっくり来なくて、どうしたって頭には将太が浮かぶ。
スマホを開いて久しぶりに将太の名前を探した。
遠くに居る将太を見ながら通話を試みる。
それでも将太が通話に応じることはなかった。
それどころか、通じることもなかった。
姿は見えるのに、将太が遠い。
何で別れたかったか……正直、これという理由はない。
ただ、いつものように笑って、話していたのに……たまたま会った知り合いに
「あ、俺の彼女」
言われた時、なぜか“違う”と思った。
一番居心地がよかったのは友達でいたあの頃で、その関係に戻りたくなったから。
それは間違いだったのだろうか。
涙が滲んできて、私はそのまま会場から離れた。
20歳になれば……本当にまた会えるのだろうか?
一緒に笑ってくれるのだろうか?
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