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「ほらっ!」
将太にジョッキを傾けられて首を傾げる。
「え?飲まねぇの?」
言われてそのグラスを持つと、
「誕生日おめでとーっ!一昨日〜っ!」
将太は笑いながら軽くぶつけてすぐにそのビールに口をつけた。
動く喉元を見つめて、減っていくその黄金色の液体を見て不思議な気がする。
私は将太がいつもぶどうの匂いがする炭酸ばかり飲んでいたのしか知らない。
「ん?やっぱ酒無理……とか?それなら無理すんなよ!」
グラスを両手で持ったままの私に気づいて将太はジョッキを置くとテーブルに乗せられた枝豆を摘んだ。
「……てか、これ何?」
「は?カシオレ」
「何それ」
「カシスのリキュールとオレンジジュース混ぜたやつ。炭酸ないジュースなら飲んでたからそれならいけるだろ?飲んでみたら?」
言われるままに口にする。
確かに甘くてスッキリとするその味は飲みやすくて好みだ。
「いけそ?」
笑いながら将太はまた少しビールを口にする。
飲み慣れたその感じがちょっと大人に見えて悔しい。
「うん。おいしい」
答えつつ、どうしたらいいのかわからなかった。
「これで『一緒に飲む』ってあの約束はとりあえず果たせたな」
「は?」
思わず将太の方を向くと将太はまたビールを口にして頬を掻く。
「……美嘉ってさぁ、結局今、彼氏居んの?」
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