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そこまで聞いて、
「えっ、その男の子の命日って……」
小林さんは、はっとした。
「そう。親父、お前からしたら祖父さんの命日と同じだ。祖父さんはな、当時、足の骨を折って入院してたんだ。けど、命に関わるようなものじゃなかった。
それなのに、8月18日の深夜。急に死んじまったんだ。心不全だってよ」
「まさか」
「身代わりにされた子が、復讐しにきたんだ。みんな、そう言ってたよ。
俺だって、信じたくない。だけど、実際に死なれちまったらな。
だから、1晩だけでいい。帰ってこい」
その声色からは怒りが消え、懇願するような響きすらあった。
こうして小林さんは友だちとの予定を断り、帰省することに決めた。
だが、話は思うようには進まない。
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