観覧車が回る時

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 ほんの気まぐれだった。  回転木馬に乗ろうだとか、ジェットコースターに乗ろうだとか、メロンソーダを買おうだとか、そんな事はこれっぽちも思っていない。  今にも走り出さんとする白馬達は、太い蔦にその身体を絡め取られている。カラフルに彩られていたであろうロケット型のコースターは、錆に塗れ発射台に留まったままだ。  誰が見たって分かる。この遊園地は、もう動きを止めている。  我楽多ばかりになっているはずの園内を、僕はぐるりと一周する事にした。
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