こんにちは、みっちゃん

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こんにちは、みっちゃん

「もう少し、頑張って!はい、息んで!」 春の訪れと共に、若い夫婦の元「新しい命」が誕生しようとしていた 「泣け!!頑張れ!!」 産まれたての赤子の首には臍帯(さいたい)が巻き付いており、息をしていない 〈三年前の悪夢〉が(よみがえ)る 赤子の足を左手でぎっちり掴み逆さにし、右手で背と尻を叩く産婆(さんば) ・・・フギャーーァ オギャーオギャー!! 赤子が息を吹き返した 「もう大丈夫だ」 その言葉と赤子の鳴き声に皆、胸をなでおろした 三年前の今日、夫婦にとって初めての子が誕生した 大きな男の子だった しかし、息を吹き返すことは無かった 今 この瞬間 ここに居た誰もが過っただろう だが、あの悪夢が繰り返されることなく 元気な女の子が産まれた 「この子は強運だ。きっと元気に育つ」 お父さんはこの子に「美知」と名付けた
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