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彩
彼女に出会ったのは、僕が三十になる年の春。彼女が高校二年になり、僕はその担任だった。
青海 彩。出席番号が一番の彼女の名前を見て、美しいと思った。両親はどんな方だろう、苗字も珍しいが、さえという響きが青い海を色鮮やかに彩っている、そんな情景を思い浮かべた。
新学期が始まり、彩は廊下側の一番前に座った。その名前の様に、美しい。色が白く、細身で、一つに結んだ黒い髪と、整った眉が彼女を凛と際立たせていた。目は大きくは無いが小さな顔にバランスが良い。
僕は、教師生活で初めて生徒を魅力的だと思った。しかし、勿論それは許されることではない、僕はよくわかっていたし、どうこうするつもりも
、彩一人だけを特別視するつもりもない。ただ、美しいと思うだけだ。
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