はじっこでララバイ

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それ以来、もう学校へ行くのが本当に億劫だ。 毎日蝉達の合唱を聞きながら、僕はこのままどこか遠くへ逃げてしまおうかと思っている。 「蝉よ、お前の命は8日だったよな。今だったら僕はお前になりたい。そんだけ大声で鳴いたらストレス0でしょ。そんで好きなだけストレス発散して、あとはもうこの世にオサラバ、サッパリ死んじゃうんだ。俺もそういう風になりたいよ。」 誰もいない、と思い、僕は独り言を言った。 すると、右側の後ろからヌッと大きな影が僕に近寄った。 「知ってるか?蝉ってな、最初地面の中にいて、自分が飛べるって事を知らないで生きてるんだ。で、ある日突然もう死ぬと思って、一生懸命地面から出ようと這い上がる。やっと地面に出た時に、自分が飛べるという事に気付くんだよ。」 低くて、やたら早口な声だった。 僕はギョッとして後ろを振り返った。 「えっと‥‥‥木成君だっけ?」 「そうだけど。皆はジャンボって呼んでる。本当はジャンボモナカだったんだけど、ジャンボに省略された。」 それが、僕がジャンボと初めて話した時だった。 ジャンボモナカのくだりはウケを狙ってるのかと思いきや、ジャンボは全くもって真顔だった。 身長が2メートルくらいあるんじゃないかと思うくらい、デカい。実際は190センチなんだそうだ。 僕は身長が160センチしかないので、ジャンボと並ぶとまるでバスケットプレイヤーと女子マネージャーのような格好になる。 「えっと、僕は‥‥」 「知ってるよ、勇気君だろ。勇気のユウキ。クラスメイトの名前は一応全員覚えてるよ。」 ジャンボはめちゃくちゃ反応速度が速い。 僕が次の言葉を探す、その間にもう返答を返してくる。
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