二ツ目

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あれは、そう。中学の春休みのことだ。何かの拍子に足を滑らせ、室内の柱に手をついた。柱が無ければ危うく転ぶところだった…とホッとしたのも束の間、瞬間的に視界が歪んだ。例えるなら、映りの悪いテレビのように。 視界が歪んだのは、ガンッ!という音とともに何かが頭上に落ちてきたからだった。 重い…痛い…一体何だ。私は、そのままの姿勢でゆっくりと頭の上のものを持ち上げ、下に置いた。 それは、なんと下の飾りを紛失した鳩時計だった。柱に釘を打ち付け、掛けてあったものだ。しばらくして瞳が潤むと同時に私の頭に大きなコブができたのだった。豆鉄砲どころの騒ぎじゃない。住処が落下したというのに、窓から覗いても奴は顔色一つ変えていなかった。 余談だけれど、そのアパートを出て一軒家に越し、二十年経った今でも私を攻撃した鳩は、両親の寝室で何事も無かったかのように元気に時間を告げている。奴はサイコパスだ。そうに違いない。
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