『約束』を詰め込んで

　あの日、空は雲一つなく冴え渡っていたのに、心の中は真っ黒な雨雲で覆われたように不安定だった。

　楽しみだったはずの運動会で涙を流している自分の姿。誰もいない小学校のグラウンドで母と二人、弁当箱を挟み向かい合ってレジャーシートの上に座っている。

「約束を守らないお母さんなんか大っ嫌い！」

　幼い頃の自分を第三者のように遠くから、大人になった自分が見つめている。なぜ、母にあんな酷いことを言ってしまったのだろうか――と今さら胸が痛む。