火の玉事件と夜な夜な怪奇

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 それは、私の部屋で夜な夜な起こる。もうそろそろ一週間だっただろうか。今日も寝支度を済ませベッドに横たわると。  こんこん、こんこんこん。  窓からノック音がする。それも、寝入ってる間は知らないが夜起きている間はずっと。  二階とはいえ窓の向こうは屋根になっているから、ホラーに良くある、”二階で足場もないのに窓に手形が”とかそういう怖さはない。  むしろ生身の人間でもこの窓はノックできて当然だ。屋根への梯子が家の外にあるわけだし。だから、そんなものは無視するに限る、と完全スルーを決め込んでいるのだが、一週間ともなるとだんだんこちらもイライラしてくる。  ため息を付きながらベッドに横たわったところで、スマホから通知音が鳴る。誰だと目を眇めてスマホを手に取る。SNSだ。友達登録申請。  ユーザー名は『窓の外』、メッセージは『そろそろ開けてくれてもいいじゃないか』。  さて、無視しよう。一度起き上がりカーテンをきっちり閉め直して、部屋の明かりを消しに行こうと背を向けた。窓を平手で叩くような音がした。メッセージ見たでしょ!なんで無視するの!と言わんばかりの詰るような音だった。  またスマホが音を立てる。メッセージは『割るよ?』。窓をか。それは困る。そんなところ(修繕)にお金を使いたくないし、外から割られると破片は部屋の中に飛ぶわけで本当に勘弁して欲しい状態になる。どうやら私は結局のところ巻き込まれるより他ないのだ。
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